検索の終焉?「ゼロクリック論争」の展望

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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「結果」より「行動」でまいります。
  (・・・といいながら、久しぶりの配信 また張りきってまいります)

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2021年は「検索の死」がホットな話題になった。
いわゆる「ゼロクリック論争」である。

ゼロクリックサーチ

私的な結論から述べると、まだまだその結論を出すには尚早で。
当面、検索の重要性、ソリューションとしての優位は動かないと考える。

しかし、120パーセント揺るぎない検索=Googleの牙城に小さいながらもメスが入ったことは重大であり認識しておくべき事実である。
事の発端は、“2020年のGoogleでの検索回数のうち、約三分の二では表示結果を何一つクリックされることがない”という調査結果。

このジレンマはEC(通販)の世界でも同じである。
これまでECサイトで特に初期に集客するにはネットポータルに参画することが王道だった。
ところが、巨大化したポータルの中で探してもらう、検索結果上位に出るという次なる戦いが熾烈になっている。「サーチコスト」が増大しているわけだ。
単にポータルに参加するだけでは集客も売上向上もかなわず、極論からいうとネットポータルに参加する意義は低下する一方である。
この受け皿として急浮上してきた手法が自社ECサイト構築を廉価に高効率で支援するショッピファイ(カナダ)やベイス(日本)の独自ネットショップ開設である。
テレビCMでの攻勢はこの盛り上がりを如実に示している。

さて、冒頭、当面、検索の優位は変わらないと述べたが、一方で急進的な動きをしている国がある。
中国である。

ファーウェイは「ゼロサーチ」を公言し導入している。
これは、人間が情報を探すのではなく、逆に、情報がそれを求める人間を探す技術である。
近しい例では、TikTok(ティックトック)がある。
利用者が見る動画を選ぶのではなく、AIが利用者の好みを読み取り、お勧めコンテンツを配信する。
体験、体感している人は解かると思うが、その精度は高い。
既に平均視聴時間はYoutubeを上回っている。

TikTok

ECでは拼多多(ピンドウドウ)。
購買者は検索に頼らない。友人の口コミか、AIのお勧めに導かれて商品を購入している。
中国が先頭を走るのには理由があり。
個人情報に触れるデータを扱うことに欧米、日本では法律、制約がある。が、中国では自由に取り扱える。
一部のECでは、常連客にて定価で販売し、新規顧客には動機付けのため廉価で販売するという不平等売買が横行しているという。
流石の中国当局も2022年には規制を強化するとみられている。

ともあれ、情報過多、飽和の中で溺れそうなネット世界において。
検索だけでは検索者の正解が遠かったり、提供者のサーチコストが高くなっている。
この事実は中国、日本、欧米ともに変わりなく。方向性として「ゼロサーチ」に進まざるを得ないだろう。
しかし、不平等、情報操作などの問題を抑止、防止して健全な検索社会からゼロサーチ社会への緩やかな移行が望まれる。

この時、王者、Google がどうでてくるのか。
個人的には大いに期待している。

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【参 考】
2022年の論点 100 文藝春秋
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【 中小企業の集客ノウハウ動画 】
その1:中小企業のネット集客~なぜ売り込んじゃいけないの?~
https://youtu.be/pBlshSFYY3o 

「行動経済学はマーケティング」とコトラーは言っています!

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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「結果」より「行動」でまいります。 

ご存じ、フィリップ・コトラーは、
「行動経済学は“マーケティンング”の別称にすぎない。
過去100年にわたりマーケティングは経済学とその実践に基づく新たな知識を生み出し、
経済システムが機能する仕組みに関することに役立てた」
と言っています。

フィリップ・コトラー

私自身、マーケティングと行動経済学は類似する点が多いと感じ自己流で学んでいました。
ちなみに、行動経済学が生まれた1970年代以降、3人のノーベル賞受賞者を生んでいます。
その中の一人で、著作が読み物としてもっとも解かりやすいダニエル・カーネマンが好きです。
「ファスト&スロー ( Thinking, Fast and Slow )」は、
副題:“あなたの意思は、どのように決まるか?” とされ、
私自身と弊社のビジネスサポート志向に大きな影響を及ぼしています。

ファスト&スロー

しかし、いかんせん他人にお伝えすること難解でして。
これを、もっと実証的に解かりやすくお届けしたい。
これが、今回のブログの趣旨です。

1.伝統的な経済学の限界

伝統的な経済学の考え方は、
「人間は合理的に行動する」
です。

生まれた頃はよかったのですが、人間の生活、社会様式、政治・経済が複雑になってくると、実際の経済行動に当てはまらないことが目立ってきました。

・スーパーのレジや銀行のディスペンサーで、コロナ禍において並ぶ仕切り線があります。
列が長くなり合理的ではありません。が、真面目な人間さんは殆ど守ります。
これ、たとえコロナ禍でなくても遵守されるそうです。
さらに、レジ前にある、乾電池、ガム、チョコに手を出してしまうこと。
経験ありませんか?

・頑張って痩せて美しいドレスを着るぞ!と生活しているときの楽しい飲み会。
合理的には、飲まない・行かないか量を自制すべきです。
でも多くの人は飲んでします。「まぁ、“今日くらい”いいか・・・」

・テレビ通販を何となく観ていて、最初買う気がないのです。
たとえいい服の商品が出ても合理的には、「ふ~ん」でスルーですが、実際はそわそわ・・・と落ち着かない。
しかも、あと、3時間以内だけ! 先着100名だけ! 2着買うとお値段、1.5倍と超お得。
いらないのに買う人が多いこと。しかも、2着。

非合理的な人間の「行動心理」です。

そこで生まれたのが、「実際」に即した、人間そのものをみつめた、
「心理学」+「経済学」 = 「行動経済学」です。

行動経済学の代表的な人間の心の動きの観察に「ヒューリスティック」があります。
自身の経験から、直感的、即断、努力・我慢を要さないようなことですが、結果オーライであることが多いです。

他にも基本的な動きとして。
「バイアス」「選択的知覚」「少数の法則」「平均への回帰」「ステレオタイプ」「初頭効果」「ピークエンドの法則」「ハロー効果」「プラシーボ効果」「サンクスコスト効果」「フレーミング効果」「アンカリング効果」「極端の回避効果」「時間的選好」「社会的選好」「スノッブ効果」「同調効果」「バンドワゴン効果」「ヴェブレン効果」「互恵性」「利他性」などがあります。
言葉から想像できるものありませんか?
どれも、あるあると経験したものばかりです。

この意思決定のもとを説明、解明したものが、「プロスペクト理論」です。
上述のカーネマンが現代の人間の“あなたの意思は、どのように決まるか?” を説いたものです。

簡単にいうと、人は損と徳を合理的に見分けられるか? という問いに対し。
答えは「否」でその理由として幾つかあげています。
「価値関数」「損失回避性」「リスク回避性」「リスク志向性」「参照点」「確率加重関数」「前処理」「メンタルアカウンティング」「ハウスマネー効果」
などです。

さらに最近、テレビCMにも出ている「ナッジ効果」
“ヒジで軽く小突くように、自発的に望ましい行動を選択するように促す”
ことです。

これらもどれも想像もつきます。
が、ちゃんと説明すると難しいので、マーケティングの成功事例にのせてご説明します。

2.マーケティングに活かした行動経済学の活用・成功事例

行動経済学

1)手間がかかる作り方にしたらパンケーキミックスが売れ出した。
・水を加えてまぜるだけ! < 卵と牛乳を加えてまぜればできる!
⇒ 合理的 < イケア効果(作り物ではなく自分で作ったよ)、社会的規範(ありもの、さぼりではなく、自分でちゃんとやってるよ)

2)20円の違いなのに、1980円と2000円では天と地の差。
・端数価格:説明の必要はありませんね?
・ヴェブレン効果(威光価格):逆に、ブランド品はけちけちせず、高い方が売れます。

3)明治のザ・チョコレートが店頭で人をひきつけるワケ。
・フレーミング効果:他社の製品と徹底的に差別化して特別感を演出。
⇒パッケージデザインの縦書き、縦置き。8種類のラインナップ(そんな違い解かるの? 失礼!)。裏にレーダーチャートで違いやこだわりを共有。

4)消費者をひきつけるセブンイレブンの戦略。
・2割引き(合理的)より、しのごの言わず、100円均一セール=フレーミング効果。
・しのごの言わず、韻ふみのCM洪水で記憶に残りやすくする。

5)人気タレントへの信頼感が商品の印象を良くする。
・前述のテレビ通販のそれぞれの効果です。
・加えて、ハロー効果:美人やかっこういい、人気のタレントが出演する商品が売れる。

6)ダイエット事業を大成功させた仕組。
・ライザップです。大きな裏の事情は2つあります。
返報性:専任トレーナーがつきっきりで二人三脚。効果を出してトレーナーの労力に報いてあげたい。
サンクコスト効果:「全額返金します」と言われても、折角ここまで頑張ったので、もうちょっと続けよう(現状維持バイアス)。

7)クラウドファンディングが大金を集めやすいワケ。
・個人的には、好きではありません・・・。大義を感じません。理由は2つあります。
同調効果:他人の支援額が見えるため安易に同調してします。一人でいるのは不安。
利他性:社会貢献している感覚が投資のハードルを下げる。私見ですが大いな勘違いです。

8)ネガティブなキャッチコピーが購買意欲をそそる理由。
・すごい除菌効果 < まな板には菌がいっぱい!
損失回避性:確率は低いのにネガティブな印象、イメージで恐怖心を煽る。
スポットライト効果:「自分のことだ!」と思わせて危機感を倍増させる。

如何でしょうか?
あるあるがいっぱいではないでしょうか。

2つ申し上げます。

ひとつは、個人の生活もビジネスにおいても、この心理行動を理解し間違いを減らすこと。
ひとつは、いけないことを煽るのではなく、素晴らしい商品、サービスであれば、この心理行動を利用して市場、消費者にWin-Win な情報をお届けし正しい判断を促すこと。

頑張ってまいりましょう。

-------- 【参考】
「行動経済学」 阿部誠監修 新星出版社
「ファスト&スロー」 上下巻 ダニエル・カーネマン ハヤカワノンフィクション文庫
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【中小企業の経営者が今すぐ始めるべき「集客の仕組みづくり」|株式会社レゾンデートル 】
https://youtu.be/X0D-lijQVJs 

追従型Web広告の行方 ( クッキー規制への対応 )

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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いま、WEB広告業界、ひいてはデジタルマーケティングに大きな変動期がきています。
欧州の個人情報保護の規制強化に端を発し、追従型の広告自体が「悪(?)」のような間違った風潮も感じています。

これは甚だしい勉強不足、錯誤です。
私はWEB広告のサポートもお請けしているから申し上げるのではありません。
「個人情報保護士」「企業情報管理士」としての知見から危惧するものです。
正しい実状の把握と今後の展望について復習と私見を共有します。

まず、論じられる対象は、WEB広告のうち、検索型広告であり、リスティングではない方。
総称、ディスプレイ広告について。

Advertising

復習します。

Webサイトやアプリの広告枠に表示される画像や動画、テキスト広告のことです。
画像や動画で視覚的にアプローチでき、ユーザーの視認性は高く、興味を惹きやすい。
広告枠をもつ媒体と直接契約するケース(バナー・純広告)も現存しますが、多くは以下特徴をもつ広告をさしています。

・年齢や性別、地域、過去のWebサイト閲覧履歴などでターゲティングを行うことが可能。
・自社のサービスや商品を知らない潜在層へのリーチに適している。
・一方で能動型(検索)ではなく受動型なので離脱率は検索より高い。
・トリガーとして機能するので次にモチベーションアップにつながる使い方必要。

1.アドネットワーク型広告:
・多数のサイトを集めて形成された広告ネットワーク。
ネットワークに登録されたサイトから親和性の高い配信先を選んで広告配信可能。
・関心の高いユーザー層をセグメント(地域、性別、年齢層など)指定も可能。
・ただし、配信先もセグメントも説明ほど正確ではなく、大雑把、どんぶりが実情。
それを理解しての使いこなしが必要です。
主なサービスはこの2つ。
・Google ディスプレイ ネットワーク(GDN)
・Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)

2.DSP(Demand-Side Platform):
・広告ネットワークの一種。同時に複数のサイトに広告配信可能。
・小規模であっても親和性の高い配信場所は貴重であり予期せぬリーチも生まれる。
・サイトユーザーの行動履歴をみて関連度の低いサイトに広告表示回避とあるが、1番同様、大雑把。

3.リターゲティング(リマーケティング)広告:
(広告媒体で呼び名が異なる。Yahoo!「リターゲティング」、 Google「リマーケティング」)
過去に自社・関連Webサイトを訪問したユーザーに対して表示させる広告です。
・より自社の商品やサービスに興味・関心のあるユーザーに絞ってアプローチし、CV(購入や会員登録)率高い。
・顕在層や顧客層に適する一方、ユーザーにしつこいと思われるリスクと法制強化で実施に難がでてきた(本コラムの主題)。
・アドネットワーク同様、この訪問歴データ(ユーザーボックス)を媒体側に任すと大雑把なので自社で取集が望ましくノウハウが必要。

4.スマート ディスプレイ キャンペーンの作成と管理:
・最近、Googleが推奨している広告形態。ターゲット設定や入札単価設定、広告の作成、またそれらの最適化を自動で行います。
・AI(機械学習機能)を使って、新しい顧客や既存の顧客を自動的に見つけ出し、適切な入札単価を設定し、ウェブやアプリ上のあらゆる画面や広告スペースに適応する魅力的な広告を作成します。
・スマート ディスプレイ キャンペーンを採用すると、他のディスプレイ キャンペーンと比較して、同じコンバージョン単価(CPA)でコンバージョン数が平均 20% 増加しています。
と、Googleは公言しているが、CPAに重きを置きすぎて、予算管理が暴走している咎があると実感しています。利用のノウハウを研究する余地あり。

本題です。

クッキーによって、サイトの閲覧情報が「セッションID」として付与され、個人情報の特定に至らずとも欧州で問題視されてきました。
(技術的な解説は検索すればぼこぼこ出てくるのでそちらに譲ります)

それは、技術的な問題よりも、消費者(訪問者)が自身の閲覧情報をデータとして勝手に取得されたり、誰にどう使われているのかが分からないところに本質があります。

勝手に取得する連中をサード・パーティー・クッキーといい、欧州では企業が同意なくクッキーを付与することを禁止しました。
いわゆる「GDPR(一般データ保護規制)」である。
これにより、初回アクセス時にクッキー利用許諾・同意の手順が増えてきました。

既に、Safari(AppleのWebブラウザー)や、Firefox(同、モジラ)では、サード・パーティー・クッキーをシャットアウトしています。
最もシェアが高く影響の大きい、Chrome(同、Google)も、2020年1月に2年以内にシャットアウトを発表しました。
そして、21年1月25日、同社は、脱クッキーの代替技術「FLoC(フェデレーテッド・ラーニング・オブ・コホート)」の実用性を解説しました。
( GoogleBLOG原文:
https://blog.google/products/ads-commerce/2021-01-privacy-sandbox/ )

これは、AIの機械学習によりIDをふるターゲットの対象を、これまでのブラウザ訪問者個々人に特定せず、同じ動向をしている「コホート」と呼ぶ数千人単位のグループにふる手法。
理屈上は個人特定をせずほぼ差異のない広告配信を実現でき、3月より検証を開始しています。

GoogleFLoC

苦しくなるのは、サード・パーティー・クッキーの恩恵、甘い汁を吸ってきた広告会社である。
今後の方向性としては、3つあります。

方向性1:Googleが開発を進める代替技術の利活用(しかし、制約の範疇でのサービス提供なので広告会社の出番、利益率は下がると想定される)

方向性2:広告に活用する識別子の独自開発(しかし、開発費が莫大である)

方向性3:クッキーに依存しない広告商品の開発(しかし、未知であり市場に受け入れられるか疑問)

尚、当面、自社・関連サイトに訪問した個人のWebブラウザに対しても、従属型の広告配信のパーミッションをとっていれば、これまで同様、リマーケティング型の広告配信は可能です。
これは、追従自体が悪で危ないものと勘違いしている人には正しく再認識して欲しいポイントです。

ユーザーにとって、そもそも興味のある情報なので、“正しく”クッキーの特性を理解していればむしろWin-Winの関係になることを啓蒙することが肝要だと強く考えています。

この独自のユーザーボックス(訪問者データ構築)と、Googleの代替技術にのってターゲティングしてゆくことが、弊社の方向性です。

皆さま、配信側(広告、Web関連会社)、利用側(広告主企業)の立場いずれにいても、自社の方向性をしっかり定めるべき時期にきています。

思っているより時間の猶予はありません。

(Appleとソーシャルメディア・アプリケーション企業を代表するFacebook の脱クッキーにおける新しい戦争については、またの機会にお伝えします)

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【参考】
「日経XTREND 2021年4月号 セレンディピティーはどうつくる?」
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【中小企業の経営者が今すぐ始めるべき「集客の仕組みづくり」|株式会社レゾンデートル 】
https://youtu.be/X0D-lijQVJs 

Pinterest の価値再考(ウィズコロナのマーケティング)

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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Pinterest(ピンタレスト)というと、日本ではあまり知られていないか、画像アプリ、メディアとして後発のInstagram(インスタグラム)に抜かれた存在として認知している人が多いのではないだろうか?

実は明確な違いがあるのですが、利用者が少ないとマーケティングでは機能せず、私自身、離れて久しいのです。
が、ここに来てその価値が再評価されてきました。

実際、アメリカを中心に世界では順調に成長し、2019年上場、MOU(月間利用者数)は4億人を突破。日本でも、クリティティブ層を中心に530万人と生きています。

コロナ禍の今、さらに脚光を浴び、見直されています。
弊社もお客様によってはお勧めする好機だと考え、ギアをきるつもりです。

キーワードは、「セレンディピティ」と「キュレーション」。

解説してまいります。

1.セレンディピティの欠如はまずい!
セレンディピティ(Serendipity)は、「予測していなかった偶然によってもたらされた幸運」あるいは「幸運な偶然を手に入れる力」を意味します。
特に科学の世界において、大きな発見が偶然からもたらされることが多いため、科学者がよく用いる表現です。
語源は、18世紀のイギリスの小説家・ホレース・ウォルポールが、『セレンディップの3人の王子たち(The Three Princes of Serendip)』というおとぎ話を読んで生み出した造語です。
私自身は、Amazon(アマゾン)が隆盛してきた時期にリアルの書店の長所として強く理解しました。
すなわち、買いたい本、目的が明確であれば、オンラインECでは早く探してとっとと入手できる。
一方、リアルでは店員のお勧めポップや書棚のレイアウトによって当初の目的から外れた予定外の出会いがあり、思わず買った本が後に転機となるようなことが少なくない。

今、問題になっているのは、この「セレンディピティ」がもたらしてきた効果を得られないことの大きさである。

1)企業において、談話室や喫煙室、飲み会などでの何気ない会話やブレストにおいて、アイデアやヒントが創出、共有され。新しい企画ができてくる。目的ありきのリモートでは、終わればはいサヨナラで効率は高いが、幅がでない。

2)大学の授業はリモートでも可能だろう。受験勉強などは逆に効率的で好ましいほどである。
が、学びは、何気ないキャンパスでの集いや会話。サークル、ゼミ活動、バイトなどで得るものの方がむしろ大きい。これができない現在の学びは可哀そうだ。

セレンディピティ

2.今こそ新たなキュレーションが大事
キュレーション(Curation)は、情報を選んで集めて整理することです。収集した情報を特定のテーマに沿って編集し、新たな意味や価値を付与する作業、再編集を意味します。
美術館や博物館で企画展を組む専門職のキュレーター(Curator)に由来します。
転じてデジタルマーケティングでは膨大な情報から自身がよいと思ったものを承認、共有、拡散したり、再編集して再発信することでさらに有益な情報として広まっています。
知識を広く共有し深めることでは非常に有効です。
しかし、ソーシャルメディアに没頭し検索に頼りすぎると目的達成、問題解決や効率化のみを求め、思考・興味の偏りや関係の限定化、狭窄化が指摘されています。これをリアルなセレンディピティが補完し、よいバランスがとられていました。

お気づきの通り、コロナ禍のリモート、オンラインでは偏りだけが進む一方という弊害が目立っています。
同じ、キュレーションを活性化するにしても、偏りに陥らず、セレンディピティも興る媒体を求める傾向がどんどん強まっています。

Curation

コロナ禍が顕在化させた、この2つのキーワードが、Pinterest を私に思い起こさせています。

その理由を、改めてInstagramとの比較からみてみましょう。
ここでは、年齢層や性別比などの重要な比較は割愛します。
それよりも本質的な違いに焦点したく。

Pinterest は、自身が投稿しなくとも、気に入った他人の投稿を自身のページにピン留めするだけで自身の収集コンテンツとしてストックされてゆく機能が他にない最大の特徴です。

イメージとしては、はてなブックマークのソーシャルブックマークに近い(体感していない方、すいません)。

私のPinterest 画面です(私のセンス伝わりますか?)。

PinterestPC画面

Instagram は「インスタ映え」で示す通り、自発型、発信型で顕示欲を満足させる媒体である。私凄いでしょ! 及び、そのファンであるフォロワーもこの人素敵と満足を満たせる。
好きな世界を発信し、好きな世界を受信する。意志が大きく働いているので、満足感は強く、結びつきは強い。
であるが故に、互いの意志の範囲内だけに終始する狭い世界である。

Pinterest は、審美眼、収集能力を誇示するが、その能力を外部に示したいのではなく、あくまで自身のアイデア出し、クリエイティブを補完するために好きな他人の力を借りる。
ストックされた情報がさらに、近しい価値や情報に結びつけてくれて、意識しない新たな結びつきに広がってゆく。
ドンピシャではないかもしれない。しかし、予期せぬ新しい出会いやイメージに出会え、新しい世界への門戸は開かれている。

いってみれば、同じ画像系ソーシャルメディアだが方向性は真逆である。
Instagram の否定ではないが、このコロナ禍で閉塞感、新たなつながりが遮断されてゆく今、望ましい媒体はどちらか。

ちなみに、Instagramと連携してECサイトに導き購買に結びつける導線は成功している。特に、女性の場合顕著だ。
しかし、Pinterestのそれは、Instagramを凌駕する。
前述のリアル書店でおこるセレンディピティを思い出して欲しい。

衝動買いとまで言わないが、狭い世界では飽きがくる。
一報、予期せぬ出会いや新しい気づき、ヒントはわくわく感やドキドキを創出し続ける。
瞬間風速や流行りは、Instagramだろう。しかし、良い商品やサービスが長く成果を出せるのはどちらか?
市場や多くのマーケッターが気づき始めています。

最後に。 流行りや上辺のスタイルに大きな影響をうける我ら日本人。
私をふくめ、日本人がPinterest を使いこなせずに10年が過ぎた間も、自身の価値、意志を強くもち、クリエイティブ、独自性を尊ぶアメリカではしっかり成長してきた事実は別次元の大きな反省すべき材料だと考える。

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【参考】
「日経XTREND 2021年4月号 セレンディピティーはどうつくる?」
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Z世代とマーケティング(ニールセンネットビューから考察)

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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ニールセンの市場調査レポートで若い層へのデジタルコミュニケーション事情が発表され、数々コラムでこのレポートのまとめ、所見を散見しています。
それだけ若い層へのアプローチに業界の関心は高いといえます。
バイアスが小さい方なので私も当該のレポートは信頼しています。

さて、「若い層」とくくってしまいましたが、この2つです。
・ミレニアル世代:1982~1996年生まれ、現在およそ25歳~39歳
・Z世代:1997~2003年生まれ、現在およそ18歳~24歳

双方デジタルネイティブですが、この間にも格差がでているようです。

Z世代とミレニアム世代のメディア消費状況

Z世代のほうが明らかにデジタルの海を泳いでいて、生活の一部に浸透している。
スマホの利用率も高い。
予想通りです。
バズる傾向もZ世代のほうが高いというレポートも他媒体からみえています。

ここからが本題なのです。
では、ビジネスとしてどう考えるか?
単純にZ世代に届く媒体によりシフトし(例えば、TikTok? Vine? ツイキャス?)、更にウケるコンテンツに寄せていけば話題にはなるだろう。

しかし、それは「瞬間風速」に過ぎない。
熱しやすく冷めやすいというより、よくいうとスピード感があり、判断がはやい。
悪くとらえると深く考えていない。
伝播のスピードや拡がりは大きいが影響力は小さいのではないか?
否定ではないが、バズることをめざしたり、踊らされてはいけないと警鐘を鳴らしたい。

もうひとつ。
近い将来、収入がついてくれば解消されるだろうが、彼らは相対的に購買力が低い。
自身では購買の決定権をもたないため、両親をはじめ、パトロンに情報を共有し判断のもと購買にいたる。
さらに、幼少の層が母親に強請るように保護下にいるわけではない。
が、声は大きいが所詮、ビジネスの対象としては未成熟なことを強く理解しておくべきだと考える。

とはいえ、次世代の流行る媒体をいちはやくつかむには、Z世代のアンテナ力、柔軟性は魅力であり、ほどよくリーチし、反応を体感しておくことは、ミレニアル世代への次の戦略に役立つことも事実である。

一足はやくZ世代でのリーチ、ウケを確かめたなら、コンテンツをほどよく硬く、大人に向けにして、これを本番として、ミレニアル世代に投げてみる。
やる価値はあるのではないかと考えている。

定量的なデータに対し、定性的な私見ではあるが、レッドオーシャンである、Z世代にウケるコンテンツつくりに躍起になることより、少なくとも私には現実味があり、また、アナログビジネス、実体経済には意義のあるトライアルではないだろうか。

中小企業は金はもちろん、時間も足りない。
やるなら効率がよく、効果測定の判断がはやく、そしてモチベーションが落ちない楽しさが成否をわける。

前向きにトライし、ダメなら辞める。
小さな成功を得ることができれば、ない金と時間をそこに費やすこの繰り返しのプライオリティは高い。

Z世代

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【参考】プレスリリース
https://www.netratings.co.jp/news_release/2021/02/Newrelease20210225.html
「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2020 (Nielsen Digital Consumer Database 2020)」
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アフターコロナの中小企業のマーケティング

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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コロナ禍もいつかは、終わります。
自分で「アフターコロナ」と標題に書きながら、「ウィズコロナ」とともに、殊更に大げさに言うことは好きではありません。

アフターコロナ

常に変化や不測の事態に備え、経営、ビジネスにまい進すべきですよね?
そういう自分も実際は翻弄されており、自戒を込めてお話します。
コロナと言わず、昨今のマーケティング事情を整理してみます。

デジタルマーケティングが隆盛し市場規模は2019年にテレビを追い越しました。
このため、若い世代を中心に、テレビをはじめ四大メディアはオワコン(終わったコンテンツ)だと言われています。

しかし、ターゲティング・修正・解析が得意でピアツーピアでのリーチに長けるデジタルマーケティングと、瞬時・大量に可能性客にリーチできるテレビをはじめとした、四大メディアは、役割が違います。

デジタルマーケティングが与える新しい恩恵は大きいですが、かたや、過去メディアの利点も今後、活用すべきである。
双方の利点を活かしたメディアミックスが肝要だと考えます。

ただし、中小企業にとって避けて通れない、現実的な予算を考えますと、相対的に廉価なデジタルマーケティングを利用する機会が増加してゆくと考えます。

そこで、デジタルマーケティングでは気をつけなければいけないことが幾つかあります。

・ターゲット年齢層:私は、現在56歳です。50-60歳代もかなりWEBに関わって生きています。
しかし、相対的にまだ、WEBへの関りが低いシニア層が現存していることは事実として重要です。
楽天やアマゾンを使ったことがある人・・・全成人人口の4割程度です。

・断言します:Z世代、デジタルネイティブのいうことを信じてはいけません。
これは全否定ではないのですが、経験不足と小さな、デジタルの世界だけでの成功体験が彼らを冗長しているのです。
さらなる成長を期し、真のマーケッターになることを応援したいです。

・ビッグデータへの過大評価:それらは、その個々人のいち場面、いち気分での動向に過ぎません。これをもってその個人を知った気になったり、ましていわんや、その世代、ターゲットを解かった気になってはいけません。
もちろん、過去に比して動向が可視化されたことをよしとしながら、顧客心理を想像する一助と考えましょう。

コロナ禍云々に拘らず、もっともやってはいけないこと。
それは、「値引き」です。
多くは、コロンのせいにかこつけて、安易に気楽に値引きに逃げているように見受けます。
最終手段として値引きはありますが決して得策ではなく、逃げてはいけない、コロナを言い訳にしてはいけないと考えます。

さて、リモートでの業務が増え、会合・集会もオンラインが当たり前になってきました。
Zoom という名前を知らなかった方々も、今は日常で使っています。
厳密には、使わざるを得ない。
この傾向はコロナ禍が収まっても続くと考えています。
なぜなら、無駄・無理が軽減されることが証明されたからです。

では、顧客接点やファンつくりをオンラインに任せることができるか?
私見ですが反対です。
なぜなら、私たちは昭和、平成を生きた人間であり、手法としてのオンラインは受け入れても、心や精神は簡単には追いつかないと考えています。

リモートの利点を享受しながらも、安易にオンラインで全てできるとは考えず、やはり、生のアナログの接点を守ってゆくべきではないでしょうか?
コロナに拘らず、もっとも大事なことは顧客の深層心理、求めるモノ、コトは何かであり、その変化に応じて、アナログかオンラインかアプローチを使い分けてゆくべくだと、切に思います。

最終的には2点提言します。

1.コロナ禍云々ではなく、本質、真の変化、顧客心理と求める価値を見極める。
コロナはある変化の速度を速めたが、真理ではない。

2.ライバルとの相対評価における、差別化ではなく、顧客の求めるものを実現する独自化を心がける。

中小企業のマーケティング

コロナ禍に柔軟に対応しながら、それだけをみず、本質、真理、変化を注視してマーケティングをしてまいりましょう。

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【参考】
・アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40/ダイヤモンド社
・日経XTREND 2/3月号

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【中小企業の経営者が今すぐ始めるべき「集客の仕組みづくり」|株式会社レゾンデートル 】
https://youtu.be/X0D-lijQVJs 

中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の方法・在り方

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。 めざせ、皆さまの模範。 めざせ、有益な情報の無料ご提供。 「結果」より「行動」でまいります。 

・・・と言いながらコロナ禍対応とおかげ様の多忙にかまけて、お客様には「書くこと」「継続すること」と口酸っぱくいうくせに、自身は1年以上の空白。 大反省のもと、再開です。

DX(Digital Transformation)

まず、私の意見(危惧)から明白にします。 DX(デジタルトランスフォーメーション)は重要、かつ不可避です。 しかし、コロナ禍で疲弊する今、負荷のかかる新しいチャレンジにトライすることに憂慮します。 さらに、間違った方法で無駄を重ねるとなると存続に拘ります。

そのような私のジレンマ、危惧に明快な回答をみつけ、我が意を得たり。 まま、転用させて頂きます。


理念と経営 2021年2月号/コスモ教育出版 日本経済の今を読み解く/寺島実郎

今、多くのエコノミストや経済人たちは、わたしが述べたような事実(注釈:V字型株価回復の謎、富の逆進性の矛盾)に衝撃を受けながら、「これからはDXの時代だ。AI、そしてビッグデータの時代だ」と声高に叫んでいます。半知半解の人たちは、デジタル庁さえつくれば問題は解決される、という程度の発想で向き合っています。 しかし、問題はそんな簡単に解決することではありません。確かに高い戦闘力を持つためにDXは重要です。けれども、DXさえ進めば日本産業は救われるなどと思ったらそれは大間違いなのです。

重要なのは「デジタルとリアルの融合」です。 どういうことか。日本でコロナ禍によってさまざまな分野でいろいろな混乱が起きましたが、食料パニックは起きませんでした。カロリーベースが食料自給率わずか1%の東京都でさえも(全国は37%)、経済がほぼシャットダウンしたにもかかわらず、食料パニックに陥ることはありませんでした。 なぜならば、スーパー、コンビニ、宅配ビジネスなど、前述したエッセンシャルワーカーズの人たちが、現場の最前線で汗を流して働いてくれたからです。つまり、社会を支えているのはリアルな現場なのです。デジタルでは「食べられない」ということに気がつかなければなりません。

「人間は飯を食わなければならない」という課題に対して、デジタルは回答できないのです。 DXは重要です。しかしもっと大事なことは、日本が抱える課題を「デジタルとリアルの融合」の中で解決していくことです。そうした目線を持っておくことが不可欠なのです。


日本人は新しいもの、スマートなものを意味なく尊ぶ風潮があります。 地に足をつけて、現存リアルビジネスを大事にしながら、徐々にDXにトライし弛まぬ革新をしてゆくことが肝要だと考えます。

その前提でDXの超基本をまとめてみました。 自社にあったDXとは何かを見極めて柔軟に進めてゆきましょう。 他社(他人)は他社、自社(自分)は自社です。

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か

1.DXの定義 概念を最初に提唱したのは、スウェーデン・ウメオ大学ノエリック・トルーマン教授です。 曰く、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させる」こと。 日本・経済産業省は具体的に「データとデジタル技術を活用」して「製品・サービスやビジネスモデル」とともに「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土までも変革」することと定義しています。

2.DXの2つの要素 「DXの実践」と「DXの環境整備」から構成。不可分であり歩調を合わせるべし。 具体的にDXを推進しながら、環境整備や企業内改革を進めます。

3.デジタル時代に重要な3つの能力 デジタル時代に企業の受ける影響は、 ・既存事業の継続的優位性の低下 ・ディスラプター(既存業界の秩序やビジネスモデルを破壊するプレイヤー)による業界破壊の可能性 ・デジタルエコノミー(コンピュータによる情報処理技術によって生み出された経済現象)による構造変革 DXの如何に拘らず、これに打ち勝ち発展するための3つの能力は、 ①漸進型イノベーション推進力 ②不連続型イノベーション創出力 ③変化適応力

4.DXによって企業が目指す姿 「どういう企業を目指すのか」というビジョンを明確にしておくことが重要。 ここがあやふやだと、必ずというほど迷走します。

DXを実践するためのポイント

1.どの領域で実践するのか(4つの領域) DXを目的は先端技術の導入ではなく、ビジネス・業務の変革です。 具体的に「どのビジネス・業務を変革するのか」という方向性を明確にすることから始めます。 領域は以下の4つ。

DX図

2.デジタル化の4つの潮流 DXの潮流として4つの方向性があり、4つの対応策があります。 ①社会・産業のデジタル化 → ビジネストランスフォーメーション   (ビジネスに直結する業種・事業特化型のIT) ②組織運営・働き方のデジタル化 → フューチャーオブワーク   (将来の働き方をITで切り開く) ③顧客との関係のデジタル化 → カスタマーエンゲージメント   (マーケティングとITの融合) ④デジタル化に対応したビジネス創造 → デジタルエコノミー   (デジタルを活用したビジネスモデルの創出)

3.2つの実践パターン ①データに着目するパターン:IoT 3Dプリンタ=デジタル技術の進展で活用可能になったデータに着目。 ②つながりに着目するパターン:人や企業がSNSなどデジタルでつながれるようになったことに着目。

4.14個の実践ヒント 3番の実践パターンで各々7つの方法があり、組み合わせる。 A:データ;①モノのデータ ②人のデータ ③画像・音声のデジタル化 ④有形物のデジタル化 ⑤デジタルコンテンツの活用基盤 ⑥経済的価値の交換 ⑦付加価値データの有償提供 B:つながり;①オンデマンド・サービス ②優位な自社業務のサービス化 ③APIエコノミー ④アグリゲーション・サービス ⑤マッチング・エコノミー ⑥シェアリング・エコノミー ⑦キュレーターズ・セレクション

DXを成功に導く企業内変革

1.5つの企業内変革 実践的な取組みの推進とともに、企業内変革を断行する必要があります。 「意識」「組織」「制度」「権限」「人材」の5つの点で変革します。相関関係にあり全て必要です。

2.「意識」を変革 最初に着手するのが、経営層や事業部門の「意識変革」です。 対話型アプローチ(非公式ミーティングなど)、参加型アプローチ(社内アイデア公募など)、啓発型アプローチ(社内セミナーなど)。

3.「組織」「制度」を変革 実践のためのアイデア出し、実現のために必要です。 初期に専任スタッフによる推進組織を設置し、明確な目標をもたせ、その役割を全社に周知することが有効です。 スムーズな遂行のために。既存制度の見直しや新制度採用が必要です。

4.「権限」「人材」を変革 上位集中の権限を、多様性をもった人材やチームが自律的に動くため権限委譲、分散が有効です。 推進チームの人材として、アイデアを生みモデル化する「デザイナー」、技術的な目利き力・実践力をもった「デベロッパー」、全体を統括する「プロデューサー」の3タイプが組むことが有効です。

DXを実践する手順とポイント

1.5つの処方箋 推進のためには過去の常識や方法論、成功体験を捨てて臨まなければならない場面があります。維持のためには5つの処方箋が効果的です。 ①「WhyとWhere」の徹底的追求 ②小さい取組みから始める ③賛同者・協力者を見つける ④実体験を重視する ⑤「外の世界」に触れる

2.2段階方式で進める コストをかけずに試作品をつくり反応を見ながら改善するサイクルを短期間に繰り返しムダを抑えて事業化=「リーンスタートアップ」。 これを取り入れ、小さな取組みを成功させ、順次、環境整備しながら全社に拡大させてゆく。

3.イノベーションを可能にする発想法のコツ DXには既存事業対象の「漸進型イノベーション」と新規事業対象の「不連続型イノベーション」があります。 双方これまでと異なる発想法が求められます。 前者では、過去十分にテクノロジーが入り込んでいない領域に着目し、適用可能性を模索。後者では3C(Customer/Company/Competition)と4P(Product/Price/Promotion/Place)に着目する。

4.DXの基本プロセスと推進体制 基本プロセスは、 ①アイデア創出 ②PoC(コンセプト検証) ③PoB(ビジネス検証) ④本番移行 ⑤本番稼働 一連の流れをスムーズに進めるため、フェーズごとに主体となる組織、役割について開始時点(か早期)に明確にしておくことが望ましい。

DXは未来をどう変えるか?

1.世界は大きな変革を迎える デジタルにより大きく変わった過去10年より今後10年がより大きく変化するはずです。 重要なのは、IoT、AI、5G の3つとこの組み合わせが大きな影響をおよぼします。

IoT AI 5G

2.デジタルディスラプションの第2波 第1波は、GAFAN により巻き起こされました。 第2波には既存の大企業の登場とともに、大小、新旧、業界を問わずダイナミックな連携によって新たな社会システム、業界構造が構築されていくと予想されます。

3.リアルよりもデジタルが基盤となる社会 冒頭記載の通り、リアルの大事さを再認識し敬意を払いながらも、ゆくゆくはリアルの世界がデジタル世界に包含されるようになる。 現時点、リアル接点においてときどきデジタルだが、IoTやモバイルの浸透で30-40年かけて物理から仮想へ、モノからサービスへ、所有から共有へ、消費から循環・再生へとシフトすると予想されます。

5.S字カーブを生み出し続ける企業が生き残る 企業の「成長のS字カーブサイクル(黎明期・成長期・成熟期)」を継続することで変化に対応し生き残るために。 成熟期を早期に察知し「深化」によって維持・改善しつつ、新規ビジネスの「探索」を断行します。


【参考】 ・未来IT図解 これからのDX /内山悟志/MDNコーポレーション
・世界一わかりやすいDX入門/各務茂雄/東洋経済新報社
・日経XTRENND 2021/2月号:コロナ後の営業DX大潮流


【中小企業の経営者が今すぐ始めるべき「集客の仕組みづくり」|株式会社レゾンデートル 】 https://youtu.be/X0D-lijQVJs 

頭の中から優先順位を洗い出す!(ブレインダンプの勧め)

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。

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「ブレインダンプ」という言葉をきいたことはありますか?
・ブレイン = brain (訳)脳
・ダンプ = dump (訳)投げ捨てる、放り出す

つまり、ブレンダンプ(brain dump)とは、脳の中身を『吐き出す』行為のこと。
自分の思考を紙に一気に書き出す方法で行います。

DUMPといいますと、IT業界に絡む方ならダンプファイルの生成と取得を思い浮かべますね。OSやアプリケーションソフトが異常終了した際、原因特定の手がかりになるように最後の瞬間のメモリやレジスタの内容を記録したファイル。
これが、「メモリダンプ」(memory dump)「クラッシュダンプ」(crash dump)です。

今回のシステムではなく脳の中を整理します。

BRAINDUMP

思考をすべて吐き出すことによる効果は、
・自分の興味、関心、欲求を可視化できる。
・アイデアを生み出すための空きスペースを頭(脳)の中につくれる。
・やるべきこと、やめるべきことを整理できる。
・行動の優先順位がみえてくる。 などです。

コンテンツSEO、セルフブランディングの視点でみますと情報発信でき、読者のために有益な得意な内容を整理するためにとても効果があります。
もうネタがない、何を書けばいいのか解らない、とは言わせません(いきなり上から断言多謝。しかしそれくらいスッキリします)。
しかも、また新しいネタを格納しておくスペースもでき一石二鳥です。
PCの無駄なキャッシュをクリアするような感じでしょうか。

せまいマーケティングの世界に限らず、日常のビジネスにおいて、生活において、ものごとの優先順位がはっきりして行動が起こしやすくなります。

このため、無用な心配・モヤモヤや無駄な時間が格段に減ります。
自信をもって生きるために定期的に行うことを推奨します。
思考の断捨離メソッドと定義づける人もいらっしゃり、うまいこと言うな~と感心しています。

ブレインダンプの具体的な方法です。
・用意するもの:A4程度の真っ白な紙、ペン、タイマー(スマホでOK)
・PCではなく、手書き。手は脳と連結しています。
・必ず「制限時間」を設ける。効率をあげるため有効です。
方法は、制限時間内にひたすら中身を書ききってしまう。
これだけです。
ところがコレが難しい。
初心者はいきなり全部書け! といってもダメで特定のテーマを決めます。
自分の好きなこと、自分が得意なことや、逆に、自分が知りたいこと、自分が得たいこと、などです。
数量の目安は、5分間で50~100個です。
苦しんでこれくらいは“吐き出して”脳の中を空っぽにしてください。
最初はすいすいですが後半、手が止まります。そこから絞り出す、ひねり出す、こじつけてでも出す。もうないよ! と叫びたくなるまで出す。

これが価値があります。

どう頭の中がスッキリするのかは言葉ではお伝えしにくく。
どうぞ、トライして体感してみてください。
「お~、こういうことか」「こういう感じか」となるはずです。

頭の整理の方法として、「モーニングページ」という手法もあります。
こちらは別の機会にご案内させて頂きます!

実は混同している人が多い!(共起語とSEOの関係)

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。

めざせ、皆さまの模範。
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「結果」より「行動」でまいります。 

「共起語」をご存知でしょうか?
もしくはきちんと説明できますか?

共起語とは、主軸となるキーワード「A」に対して、関連性が強く一緒に用いられる頻度が高い単語「B」 のことです。キーワード「A」の周囲によく現れる単語とも言えます。
「B」にあたる単語は1つではなく、複数存在します。

たとえば、「たらこスパゲティ」というキーワードなら、「レシピ」「簡単」「作り方」が同じ文章の中に出てくる可能性が高い単語として位置づけられます。
これが共起語です。

共起語マトリックス

共起語と混同されがちな言葉に「関連語」があります。「サジェストキーワード」ともいわれ、キーワード「A」とセットで検索されることの多いキーワード群「B」のことです。検索エンジンにキーワードを入力すると、検索窓の下に入力候補が出てきます。

たとえば、「ワイン」と入力すると、「つまみ」「カクテル」「カロリー」などと表示されます。
結果として共起語と同じ場合もありますが、文章として必ずしもそこにあるべき言葉ではなく、検索者の要望、状況によってことなるためバラツキがあります。

「類義語」や「同意語」も関連語に含まれます。
これは日本語の文章として同じ言葉を重複して使わないという作法から同じか近い意味ですが、表現が違う言葉です。
SEO的には文章と中に同じ言葉を使いたいが、キーワードとして頻出率が高すぎることを回避するために使ったりします。

これらの違いは非常に重要です。

共起語は、Googleが特定のWebコンテンツの専門性や情報網羅性を判断する際の1つの要素になっているとされています。
共起語を適切に使用することでコンテンツを検索結果で上位表示させることに役立ちます。 これを裏づけるように、評価されるべきコンテンツの品質、独自性をはかる、Googleの品質ガイドラインには、「E-A-T」という言葉があります。
「E-A-T」を満たすコンテンツがGoogleの考える高品質なコンテンツであり、コンテンツの「オリジナル性」を説明する上では欠かせない項目となっています。
「E-A-T」は、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取ったものです。
共起語を適切に使った文章はこの E-A-T を満たす文章に近づいてゆくことです。

分野として評価の高いものとして「YMYL(”Your Money or Your Life”の略語)」という言葉もあります。
「人々の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるページ」のことで、有益なコンテンツとして品質評価ガイドラインで推奨されています。
この分野でも共起語を適切に使った文章は解りやすく、問題の解決に役にたつ文章に近づいてゆきます。

では、共起語を中心に文章を組み立てれば・・・と考えてしまいますが、それは間違いです。
独自性を保つ意味合いもありますが、本質的に「文章」としてまず自身が伝えたいこと、表現したいことの全文を表し、よりE-A-Tを充実させ、かつ、SEO的に評価されることを狙ってチューニングすることが肝要です。

文章、コンテンツありきで、あくまでも共起語をこれを補足、強化するための存在と心得て活用すべきだと考えています。

最後に無料で利用できる共起語ツール一覧を幾つかご紹介します。
・共起語検索
・Findword
・共起語調査ツール
・共起語チェック「パスカル」
・ミエルカ共起語ツール
・LSI調査
などを散見します。

文章を書く際ではなく、見直し、推敲の際に参照にするような使い方をお勧めします。

ひらめきをえる方法お教えします!(DMN&4B) 

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。

めざせ、皆さまの模範。
めざせ、有益な情報の無料ご提供。
「結果」より「行動」でまいります。 

今回はわたしも実践始めました。
「問題解決の4つのプロセス」 = 「ひらめきを得る」4つのプロセスを共有します。

1)「準備」 問題と格闘する=インプット
まず、問題を一生懸命調べます、考えます。
答えをえることが目的ではなく、新しいアイデアや企画、作戦を考える場合があてはまります。
すぐに答えはでず、誰も助けてくれず、まず自分で考えねばならない時(とき)、事(コト)ありますよね。
そのようなケースに最適です。

2)「孵化(インキュベーション)」 = 問題を脇においておく
DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)が活動し、無意識のうちに情報の再編、情報の関連付けします。
1番で格闘し疲れたら、ほっておいてしまいます。
この寝かせの時間は、以前は無駄と考えられていましたが、実は、脳は活性化していることが近年の研究でわかってきました。

デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)

コトバンクからDMNの説明を引用します。
「なんらかの思考や関心や注意を伴わない、ぼんやりと安静状態にある脳が示す神経活動。脳の血流量の変化を可視化するfMRIを用いると、何もしない安静時にのみ、活動が活発になる脳の領域が複数存在し、互いに同期することが明らかになった。
この活動はデフォルトモードネットワークとよばれ、自己認識、見当識、および記憶に関わる基本的な役割があると考えられている。」

3)「ひらめき」 = アハ!体験
あるとき、突然ひらめいたり、気づきが天からおりてきます。
特に、創造性の4Bの状況でおきるケースが多いそうです。
ここで大事なことは、すぐ、30秒以内にメモすることです。そうでないと人間の脳は簡単にひらめきを忘れてしまいます。
脳内の道路網(神経回路)はいわば獣道のように新しく、また舗装されていないのですぐに埋もれてしまいます。

創造性の4Bとは、Bathroom(バスルーム=風呂・トイレ)、Bus(バス=厳密にはバス、電車など通勤・通学時)、Bed(ベッド=寝室で寝入る寸前のわずかな時間)、そして、Bar(バー=静かにボーッとひとりで酒を飲んでいる時間)です。
どれもある程度、リラックスしている時間帯ですね。

創造性の4B

4)「検証」 = アウトプット
ひらめきが正しいか理論的、実践的に検証する。
2、3番でえた「ひらめき」が本当に正しいか、向きあって確認します。
正しいようであれば、より具体的な解決策に落とし込み、実行にうつします。
これも時間をおかずに行動することが好ましいようです。

如何でしょうか?
アハ体験や突然の気づきは、実は皆さん経験があるのではないでしょうか?

これを人為的に意図してつくり出す方法となります。

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