米Google は、2024年末までに全ユーザーのサード・パーティー・クッキーを廃止する。 これに替る手法がない。既存のデータ収集方法では顧客の実像がつかめない。 今後益々自社での情報収集が重要になります。 中小企業もうかうかしていられません。
1.技術面からのアプローチ:
そもそもサードパーティデータはクッキー(Cookie)の登場で安易、廉価に顧客像をつかめる、アプローチができる手法です。
それ以前は、自社顧客のデータを収集、分析、活用する「ファースト・パーティ・データ」を使っていた。これに加え再注目されているのが、「ゼロ・パーティ・データ」です。“顧客がブランドに何かを期待し、同意した上で、意図的に企業に提示するデータ”のこと。
この2つを組み合わせて、購買の「後=ファースト」と「前=ゼロ」から顧客像を知る手法です。
実はこれも既に1999年にセス・ゴーディン氏が提唱し、流行った「パーミッションマーケティング」に近しい。
顧客から許諾(パーミッション)と信頼を得てマーケティングを行う。
企業と顧客の信頼があるからこそ欲しいモノ・コトや欲しいタイミングが判る。
クッキーに頼って楽をせず、自身で汗を流す原点回帰ということか。
2.アパレルECの秘策。会員登録時に「70の設問」
同じように大量の設問を設けましょうというのではなく、アンケートの策定に参照になると考えています。
パーソナルスタイリングサービスを軸としたファッションブランド「DROBE(ドローブ)東京・港区」が会員登録時に実施。ファッション好み診断、身長・体重、職業という個人情報、気になる身体の部位・コンプレックスまで計70問。
負荷をかけて開示する価値のあるサービスであるだけではなく、回答のノウハウが大きい。
・簡単な設問から始めてリズムよく回答できるようにする。
・回答してどう活用されるか分からないという不安を解消する。
・主要ブランドを明示し簡単に選択。それ以外は記載にする。
・予算も統計から仮予算の数値を明示し選択。それ以外は記載にする。
・この設問数は「よく知って欲しい」という承認欲求を満たすためだと寄りそう。
・視覚化で認識負荷を軽くし誤認を削減する。
・難しい言葉、例えば旬で曖昧で感覚的、理解差のある「フェミニン」「マッシュ」等は使わない。
等など。
得られた結果は回答者個々を念頭に、恒常的なデータはAI、鮮度の高い、ナイーブな情報は人の力で判断するという役割分担をしている。
3.「顧客の気持ち」はデータが全て教えてくれる:
宿泊予約サービスの「一休.com 東京・千代田区」はレッドオーシャンの中で“売り方の背別化”に活路を見出し、ファースト・パーティ・データを活用している。
技術的にどうこうと言いたいのではない。その理解方法に価値がある。
例えばAという顧客が初めての時、2回目のとき、定期化したとき、では同じ人でも顧客情報は変異しているはずで。Aに近い人に初訪して頂くには、近い人が定期化して頂くには・・・と分けて分析する。
つまり、“顧客(この場合はA)のサイト上での行動データを分析し、その人と最も近い行動をとった人が選んだ宿や条件を基に最適な宿を提案する。”
技術的には、他の類似ユーザーの行動を基にしたパターン処理だが、定性的には“お客さんが何をしたいかは、他のお客さん(の行動)が教えてくれる”という考え方です。
クーポンを出す時に重要なのは「あと少し背中を押してくれたら」というタイミングだがこれを見抜くのも。
「気持ちが盛り上がるタイミング」を見抜くのも。
全て、類似の他の顧客の行動に教えてもらうという姿勢である。
4.ファンコミュニティーでインサイトをつかむ:
ビール市場は各社の技術、広報戦略の向上でコモディティ化している。要は何を飲んでも美味い。エビスビールの生存戦略として「情緒的価値」の醸成をあげている。
顧客との距離を縮めてビールの味以外の精神的なつながりをつくる。
顧客同士や顧客とブランド担当者が交流できるファンコミュニティー「エビスビアタウン」の運営を2022年から開始した。
ヘビーユーザーを「住民」としてアンバサダー的におつきあいしている。
1)コミュニティー内の企画、運営に参加してもらい「実行委員」として格上げ。実際に一緒につく
る、自分事に昇華してもらう。
2)「住民」から聞けたエビスを好きになる、なった原体感(20才の誕生日を両親にエビスで祝ってもらった、懐かしい友人との再会には必ずエビス、等)をライトユーザーに再現、体験してもらう。
その場としてより敷居の低い入りやすいアンテナショップ「YEBISU BAR(エビスバー)」や発祥の地につくりエビスを知ってもらう「YEBISU BREWERY TOKYO(エビス ブルワリー トウキョウ)」に誘う。
3)住民のロイヤリティー変化の可視化をする。もうエビスから離れないと胡坐をかかず年1回の
「住民意識調査」で寄りそう。施策が狙い通りか尋ねる(教えて頂く)、ロイヤリティーをはかる評価軸を複数つくってゆき更に寄りそう姿勢を継続する。
どれも全く同じことをせずとも、出来ずとも、コツ、ノウハウから出来そうなことを少しづつ真似をする。その考え方、姿勢にならいアンテナをたてる。
やれることは実は少なくないと考えています。
デジタルマーケティングは、早く安く誰にでもできます。
だからこそ、他者より早く着手した人たちが勝っています。
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<参考文献> 日経XTREND 6月号
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