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検索の終焉?「ゼロクリック論争」の展望

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
めざせ、皆さまの模範。
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「結果」より「行動」でまいります。
  (・・・といいながら、久しぶりの配信 また張りきってまいります)

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2021年は「検索の死」がホットな話題になった。
いわゆる「ゼロクリック論争」である。

ゼロクリックサーチ

私的な結論から述べると、まだまだその結論を出すには尚早で。
当面、検索の重要性、ソリューションとしての優位は動かないと考える。

しかし、120パーセント揺るぎない検索=Googleの牙城に小さいながらもメスが入ったことは重大であり認識しておくべき事実である。
事の発端は、“2020年のGoogleでの検索回数のうち、約三分の二では表示結果を何一つクリックされることがない”という調査結果。

このジレンマはEC(通販)の世界でも同じである。
これまでECサイトで特に初期に集客するにはネットポータルに参画することが王道だった。
ところが、巨大化したポータルの中で探してもらう、検索結果上位に出るという次なる戦いが熾烈になっている。「サーチコスト」が増大しているわけだ。
単にポータルに参加するだけでは集客も売上向上もかなわず、極論からいうとネットポータルに参加する意義は低下する一方である。
この受け皿として急浮上してきた手法が自社ECサイト構築を廉価に高効率で支援するショッピファイ(カナダ)やベイス(日本)の独自ネットショップ開設である。
テレビCMでの攻勢はこの盛り上がりを如実に示している。

さて、冒頭、当面、検索の優位は変わらないと述べたが、一方で急進的な動きをしている国がある。
中国である。

ファーウェイは「ゼロサーチ」を公言し導入している。
これは、人間が情報を探すのではなく、逆に、情報がそれを求める人間を探す技術である。
近しい例では、TikTok(ティックトック)がある。
利用者が見る動画を選ぶのではなく、AIが利用者の好みを読み取り、お勧めコンテンツを配信する。
体験、体感している人は解かると思うが、その精度は高い。
既に平均視聴時間はYoutubeを上回っている。

TikTok

ECでは拼多多(ピンドウドウ)。
購買者は検索に頼らない。友人の口コミか、AIのお勧めに導かれて商品を購入している。
中国が先頭を走るのには理由があり。
個人情報に触れるデータを扱うことに欧米、日本では法律、制約がある。が、中国では自由に取り扱える。
一部のECでは、常連客にて定価で販売し、新規顧客には動機付けのため廉価で販売するという不平等売買が横行しているという。
流石の中国当局も2022年には規制を強化するとみられている。

ともあれ、情報過多、飽和の中で溺れそうなネット世界において。
検索だけでは検索者の正解が遠かったり、提供者のサーチコストが高くなっている。
この事実は中国、日本、欧米ともに変わりなく。方向性として「ゼロサーチ」に進まざるを得ないだろう。
しかし、不平等、情報操作などの問題を抑止、防止して健全な検索社会からゼロサーチ社会への緩やかな移行が望まれる。

この時、王者、Google がどうでてくるのか。
個人的には大いに期待している。

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【参 考】
2022年の論点 100 文藝春秋
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【 中小企業の集客ノウハウ動画 】
その1:中小企業のネット集客~なぜ売り込んじゃいけないの?~
https://youtu.be/pBlshSFYY3o 

「行動経済学はマーケティング」とコトラーは言っています!

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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「結果」より「行動」でまいります。 

ご存じ、フィリップ・コトラーは、
「行動経済学は“マーケティンング”の別称にすぎない。
過去100年にわたりマーケティングは経済学とその実践に基づく新たな知識を生み出し、
経済システムが機能する仕組みに関することに役立てた」
と言っています。

フィリップ・コトラー

私自身、マーケティングと行動経済学は類似する点が多いと感じ自己流で学んでいました。
ちなみに、行動経済学が生まれた1970年代以降、3人のノーベル賞受賞者を生んでいます。
その中の一人で、著作が読み物としてもっとも解かりやすいダニエル・カーネマンが好きです。
「ファスト&スロー ( Thinking, Fast and Slow )」は、
副題:“あなたの意思は、どのように決まるか?” とされ、
私自身と弊社のビジネスサポート志向に大きな影響を及ぼしています。

ファスト&スロー

しかし、いかんせん他人にお伝えすること難解でして。
これを、もっと実証的に解かりやすくお届けしたい。
これが、今回のブログの趣旨です。

1.伝統的な経済学の限界

伝統的な経済学の考え方は、
「人間は合理的に行動する」
です。

生まれた頃はよかったのですが、人間の生活、社会様式、政治・経済が複雑になってくると、実際の経済行動に当てはまらないことが目立ってきました。

・スーパーのレジや銀行のディスペンサーで、コロナ禍において並ぶ仕切り線があります。
列が長くなり合理的ではありません。が、真面目な人間さんは殆ど守ります。
これ、たとえコロナ禍でなくても遵守されるそうです。
さらに、レジ前にある、乾電池、ガム、チョコに手を出してしまうこと。
経験ありませんか?

・頑張って痩せて美しいドレスを着るぞ!と生活しているときの楽しい飲み会。
合理的には、飲まない・行かないか量を自制すべきです。
でも多くの人は飲んでします。「まぁ、“今日くらい”いいか・・・」

・テレビ通販を何となく観ていて、最初買う気がないのです。
たとえいい服の商品が出ても合理的には、「ふ~ん」でスルーですが、実際はそわそわ・・・と落ち着かない。
しかも、あと、3時間以内だけ! 先着100名だけ! 2着買うとお値段、1.5倍と超お得。
いらないのに買う人が多いこと。しかも、2着。

非合理的な人間の「行動心理」です。

そこで生まれたのが、「実際」に即した、人間そのものをみつめた、
「心理学」+「経済学」 = 「行動経済学」です。

行動経済学の代表的な人間の心の動きの観察に「ヒューリスティック」があります。
自身の経験から、直感的、即断、努力・我慢を要さないようなことですが、結果オーライであることが多いです。

他にも基本的な動きとして。
「バイアス」「選択的知覚」「少数の法則」「平均への回帰」「ステレオタイプ」「初頭効果」「ピークエンドの法則」「ハロー効果」「プラシーボ効果」「サンクスコスト効果」「フレーミング効果」「アンカリング効果」「極端の回避効果」「時間的選好」「社会的選好」「スノッブ効果」「同調効果」「バンドワゴン効果」「ヴェブレン効果」「互恵性」「利他性」などがあります。
言葉から想像できるものありませんか?
どれも、あるあると経験したものばかりです。

この意思決定のもとを説明、解明したものが、「プロスペクト理論」です。
上述のカーネマンが現代の人間の“あなたの意思は、どのように決まるか?” を説いたものです。

簡単にいうと、人は損と徳を合理的に見分けられるか? という問いに対し。
答えは「否」でその理由として幾つかあげています。
「価値関数」「損失回避性」「リスク回避性」「リスク志向性」「参照点」「確率加重関数」「前処理」「メンタルアカウンティング」「ハウスマネー効果」
などです。

さらに最近、テレビCMにも出ている「ナッジ効果」
“ヒジで軽く小突くように、自発的に望ましい行動を選択するように促す”
ことです。

これらもどれも想像もつきます。
が、ちゃんと説明すると難しいので、マーケティングの成功事例にのせてご説明します。

2.マーケティングに活かした行動経済学の活用・成功事例

行動経済学

1)手間がかかる作り方にしたらパンケーキミックスが売れ出した。
・水を加えてまぜるだけ! < 卵と牛乳を加えてまぜればできる!
⇒ 合理的 < イケア効果(作り物ではなく自分で作ったよ)、社会的規範(ありもの、さぼりではなく、自分でちゃんとやってるよ)

2)20円の違いなのに、1980円と2000円では天と地の差。
・端数価格:説明の必要はありませんね?
・ヴェブレン効果(威光価格):逆に、ブランド品はけちけちせず、高い方が売れます。

3)明治のザ・チョコレートが店頭で人をひきつけるワケ。
・フレーミング効果:他社の製品と徹底的に差別化して特別感を演出。
⇒パッケージデザインの縦書き、縦置き。8種類のラインナップ(そんな違い解かるの? 失礼!)。裏にレーダーチャートで違いやこだわりを共有。

4)消費者をひきつけるセブンイレブンの戦略。
・2割引き(合理的)より、しのごの言わず、100円均一セール=フレーミング効果。
・しのごの言わず、韻ふみのCM洪水で記憶に残りやすくする。

5)人気タレントへの信頼感が商品の印象を良くする。
・前述のテレビ通販のそれぞれの効果です。
・加えて、ハロー効果:美人やかっこういい、人気のタレントが出演する商品が売れる。

6)ダイエット事業を大成功させた仕組。
・ライザップです。大きな裏の事情は2つあります。
返報性:専任トレーナーがつきっきりで二人三脚。効果を出してトレーナーの労力に報いてあげたい。
サンクコスト効果:「全額返金します」と言われても、折角ここまで頑張ったので、もうちょっと続けよう(現状維持バイアス)。

7)クラウドファンディングが大金を集めやすいワケ。
・個人的には、好きではありません・・・。大義を感じません。理由は2つあります。
同調効果:他人の支援額が見えるため安易に同調してします。一人でいるのは不安。
利他性:社会貢献している感覚が投資のハードルを下げる。私見ですが大いな勘違いです。

8)ネガティブなキャッチコピーが購買意欲をそそる理由。
・すごい除菌効果 < まな板には菌がいっぱい!
損失回避性:確率は低いのにネガティブな印象、イメージで恐怖心を煽る。
スポットライト効果:「自分のことだ!」と思わせて危機感を倍増させる。

如何でしょうか?
あるあるがいっぱいではないでしょうか。

2つ申し上げます。

ひとつは、個人の生活もビジネスにおいても、この心理行動を理解し間違いを減らすこと。
ひとつは、いけないことを煽るのではなく、素晴らしい商品、サービスであれば、この心理行動を利用して市場、消費者にWin-Win な情報をお届けし正しい判断を促すこと。

頑張ってまいりましょう。

-------- 【参考】
「行動経済学」 阿部誠監修 新星出版社
「ファスト&スロー」 上下巻 ダニエル・カーネマン ハヤカワノンフィクション文庫
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【中小企業の経営者が今すぐ始めるべき「集客の仕組みづくり」|株式会社レゾンデートル 】
https://youtu.be/X0D-lijQVJs 

Ad Fraud(アドフラウド)を知らねばなりません!(中小企業ほど)

9月4日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)では、番組の取材班がその実態の追及に乗り出し、突撃取材を敢行した様子を放送しました。

あぁ、いよいよここまで来たのだなぁと思いました。

大手企業や地方自治体がかなり大きな予算をつかい真面目に取り組んでいるインターネット広告と拡散が舞台です。

当然のように大手広告代理店(ここでは電通九州など実名出演)に委託しています。

電通の苦しい言い訳が印象的でしたし、実際、そうとしか言いようがないのですが、大手広告代理店も最先端のネット広告の手法は頭で理解していても実施するノウハウも管理する時間がありません。

このため「任せっきり」になっています。
この再委託先のベンチャー的な代理店も、犯人というより、むしろ被害者の体裁で発言しています。

この機会に私なりの「アドフラウド」への理解と対策を共有させて頂きます。

adfraud

アドフラウドは、広告媒体の成果を不正に水増しする手法のことです。

実際には何の成果もないのにCV(コンバージョン=広告が表示された・クリックされたなど)が出ているように疑似、桜のようなアクションをおこし管理画面での計測数字を実際と違うようにしてしまう。
管理画面を共有していな場合は、レポート上で同様に嘘の計測数字を記載するようなことが実際にあります。

関係者や識者の間では知られていましたが、これまでは暗黙の了解のような扱いであったと思います。

ところが、私自身、IT系の新聞、雑誌以外の一般紙でこの話を目にするようになりました。
その内容は大きく分けて2つです。

1.アドフラウドを知り、対策することは、悪意の第三、ハッカーの監視ではなく、広告代理店を疑い、代理店そのものの不正を監視せねばならなくなっている。

2.これまでIT業界で問われてきた、まだ市民権を得ていない言葉、アドフラウドがいよいよ一般世界にまで浸透してきたので気をつける。

前者は、そのまま。
広告代理店の水増し請求が横行しています。
利用者の無知にも問題があります。
しっかり理論武装し、なめられないようにすべきです。

後者は、危惧が現実味を帯びている証拠です。
水増し請求は、一般誌でも問うほど多くなっている証明です。
ノンビリしている場合ではありません。

まずは、広告代理店にカマをかけて、請求内容をしっかりと吟味しましょう。

任せっきりは我々利用者の罪です。

信頼してもよいですが、信用してはなりません。

そのためには、理論武装、基礎くらいはしっかりと知っておく必要があります。

以下に基本的な、極めて残念な手法を共有します。

  1. 隠し広告(Hidden Ads)
  2. 過度な広告の詰め込み(Ad Density)
  3. 自動リロード(Auto Refresh)
  4. 第三者からのトラフィック獲得(Sourced Traffic):広告経由
  5. 第三者からのトラフィック獲得(Sourced Traffic):トラフィックエクスチェンジ経由
  6. オークションのURL偽装(Falsely Represented)
  7. データセンターからのトラフィック(Data Center / Proxy)
  8. クッキー汚染(Cookie Stuffing)
  9. 不正な広告挿入(Ad Injection)
  10. ウイルス・マルウェア・アドウェアなどによる個人端末の乗っ取り(Malware, Adware, Hijacked Device)
  11. ブラウザを自動で動かして広告閲覧を生成(Imp/click Bot, Retargeting Fraud)
  12. 不正クリック発生によるアトリビューションの汚染(Click Stuffing)
  13. 不正クリックによるコンバージョンの乗っ取り(Click Injection)
  14. バックグラウンドでの広告閲覧による収益の水増し(Background)

詳細はググって頂ければお分かりになりますが、大体、この文体をみれば想像がつきますね。
嘘のような、本当に実在する手法です。

特に、スマホ上の広告で横行しているようで、この背景として大きな金額を出資しているゲーム業界が広告主であるのでこれをターゲットに悪意も集中していると説いています。
しかし、私の私見では、ゲーム業界の者も技術的なレベルは高くアドフラウドをよく解っている。ゲーム業界も似たような不正が横行しているので黙認しているのでは・・・とみています。
ひねくれた考えでしょうか・・・。

これらは厄介なことに、不正ではあるもののSEOの外部施策のような一定の効果をえる可能性があります。

万が一使うなら、確信犯でSEO的な効果のために利用し、広告代理店の利用も水増しではなくSEO的な副次効果を狙ったものであれば、狙いを共有して連帯して使わなければなりません。

今一度言います。

・(私たちは)理論武装はしっかりと継続してやるべし。

・(代理店は)信頼してもよいですが、信用してはなりません。

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