「ホームページから問い合わせは来るようになった。でも、なかなか受注につながらない」
「見積もりを提出しても、その後、連絡がなくなってしまう」
「商談はできるのに、最後のところで他社に負けてしまう」
中小企業の経営者から、このような悩みを聞くことがあります。
問い合わせがまったくないのであれば、集客を改善する必要があります。
しかし、問い合わせがある程度来ているのに売上が伸びない場合、集客だけを改善しても問題は解決しないかもしれません。
< 関連・参照コラム:売上が伸びない原因を整理する >
むしろ、今ある問い合わせを、どれだけ受注につなげられているかを見直すことが重要です。
問い合わせを増やすために広告費をかけたり、SEOに力を入れたりすることも大切です。
しかし、せっかく集めた見込み客が受注につながらずに離れてしまっているとしたら、そこにも改善の余地があります。
では、問い合わせはあるのに売れない会社は、何を見直せばよいのでしょうか。
今回は、中小企業が営業を改善するときに考えたい5つのポイントを整理します。
中小企業が営業を改善するときに考えたい5つのポイント
1.まず、問い合わせから受注までの流れを確認する
最初にやるべきことは、営業担当者に「もっと頑張ろう」と呼びかけることではありません。
問い合わせから受注まで、どこで止まっているのかを確認することです。
例えば、次のような流れで考えてみます。
ホームページや紹介などから問い合わせが来る
問い合わせに対応する
商談や打ち合わせを行う
見積もりや提案書を提出する
受注または失注となる
この流れのどこに問題があるかによって、改善すべきことは変わります。
問い合わせは来るけれど、連絡が取れない。
商談にはなるけれど、見積もりを依頼されない。
見積もりは提出できるけれど、その後、返事がない。
それぞれ原因は異なります。
例えば、問い合わせ後の初回対応が遅ければ、顧客の関心が薄れてしまう可能性があります。商談まで進んでいるのに失注が多いのであれば、提案内容や価格、競合との違いなどを見直す必要があるかもしれません。
大切なのは、売れないという結果だけを見るのではなく、そこに至るまでの過程を確認することです。
まずは直近3カ月程度の問い合わせや商談を振り返り、どこで話が止まっているのかを整理してみましょう。
2.問い合わせの数だけでなく、問い合わせの質を確認する
問い合わせが来ているのに受注できない場合、営業の進め方に問題があるとは限りません。
そもそも、問い合わせをしてきた人が、自社の顧客として適切なのかを確認する必要があります。
例えば、次のようなケースです。
自社の対象顧客とは異なる業種からの問い合わせ
予算が自社の提供するサービスと合わない
具体的な導入予定がなく、情報収集だけを目的としている
価格だけを比較するために複数社へ見積もりを依頼している
自社が提供できる範囲と、相手が求めている内容が異なる
もちろん、情報収集段階のお客様が、将来の有望な顧客になることもあります。問い合わせの段階で、すべてを見込みなしと判断する必要はありません。
しかし、問い合わせ件数だけを追いかけていると、受注につながりにくい問い合わせを増やすために、多くの時間や費用を使ってしまうことがあります。
そこで確認したいのは、次のような点です。
「本当に取引したいお客様から問い合わせが来ているか」
「問い合わせをしてきた人は、どのような問題を解決したいのか」
「自社のサービスは、その問題を解決できるのか」
もし問い合わせの質に問題があるなら、営業方法だけでなく、集客方法やホームページの表現も見直す必要があります。
問い合わせを増やすことと、受注につながる問い合わせを増やすことは、同じではありません。
この違いを意識することが、営業改善の出発点になります。
3.商品・サービスの説明ではなく、お客様の課題を中心に提案する
商談では、自社の商品やサービスについて、熱心に説明する会社が少なくありません。
商品の特徴、性能、品質、実績、対応範囲。
どれも重要な情報です。
しかし、お客様が知りたいのは、それらの情報だけではありません。
「自分が抱えている問題を解決できるのか」
「導入すると、どのようなメリットがあるのか」
「他社ではなく、この会社に依頼する理由は何か」
ということです。
例えば、ホームページ制作会社であれば、
「スマートフォンに対応したホームページを制作します」
という説明だけでは、他社との違いが伝わりにくいかもしれません。
それに対して、
「スマートフォンで見たときに問い合わせ先が分かりにくいという問題を改善し、見込み客が相談しやすいホームページを目指します」
と伝えれば、お客様の課題と提案内容のつながりが明確になります。
もちろん、伝え方だけを変えれば受注できるというものではありません。実際に課題を解決できるサービスであることが前提です。
そのうえで、商談では、説明することを急ぐ前に、お客様の話を聞く時間を確保することが大切です。
現在、どのような問題を抱えているのか
その問題によって、どのような影響が出ているのか
これまでに、どのような対策を行ったのか
今回、何を実現したいと考えているのか
こうした情報を確認してから提案することで、相手に合った話ができるようになります。
売りたいものを説明する営業から、お客様が解決したい問題を一緒に考える営業へ。
その視点の転換が、営業改善につながります。
4.見積もりを提出した後の対応を見直す
見積もりを提出した後、返事がなくなってしまう。
これは、多くの中小企業で起こり得る問題です。
見積もりを送った時点で、営業担当者としての仕事が終わったような感覚になっていないでしょうか。
もちろん、お客様にも検討する時間が必要です。頻繁に連絡すればよいというものではありません。
ただし、見積もりを提出した後、何も確認しないまま放置してしまうと、受注の可能性があった案件まで失ってしまうことがあります。
例えば、見積もりを提出するときに、
「ご検討いただくうえで、ご不明な点があればご説明します」
「来週あたりに、一度ご検討状況をお伺いしてもよろしいでしょうか」
と、次の対応について合意しておく方法があります。
その後は、約束した時期に連絡し、検討状況を確認します。
もし他社に決まったのであれば、可能な範囲で理由を聞いてみることも大切です。
価格が理由だったのか。提案内容が合わなかったのか。導入時期が変わったのか。
理由が分かれば、次の営業活動に生かせます。
ただし、すべてのお客様が失注理由を教えてくれるわけではありません。回答が得られない場合も含め、分かった範囲で記録していけば十分です。
重要なのは、一つひとつの商談を、その場限りで終わらせないことです。
営業活動の結果を記録し、次の改善につなげる。
それを繰り返すことで、会社としての営業力を少しずつ高めることができます。
5.営業を個人の経験や勘だけに頼らない
中小企業では、社長自身が営業を担当していたり、限られた人数で営業を行っていたりすることがあります。
そのため、営業の進め方が個人の経験や勘に頼りがちです。
経験豊富な社長が対応すれば受注できるけれど、ほかの社員では難しい。
社長が忙しくなると、見込み客への連絡が後回しになる。
以前にも似たような商談があったはずなのに、そのときの対応や結果が社内に共有されていない。
こうした状態では、営業活動の改善が個人の努力に依存してしまいます。
そこで、まずは難しい営業管理システムを導入するよりも、簡単な記録から始めてみましょう。
例えば、表計算ソフトなどで、次の項目を管理します。
問い合わせ日と問い合わせ経路
顧客名と相談内容
現在の商談状況
提案・見積もりの提出日
次に連絡する予定日
受注・失注の結果と、その理由
これだけでも、対応が止まっている案件や、受注につながりやすい問い合わせの傾向が見えやすくなります。
さらに、月に一度、問い合わせ件数、商談件数、見積もり件数、受注件数を確認します。
最初から完璧な管理を目指す必要はありません。
大切なのは、営業の状況を社長や担当者の頭の中だけに置かず、会社として確認できるようにすることです。
営業を頑張ることに加えて、営業の結果から学べる会社にする。
これが、継続的な営業改善の基本です。
< 参照・関連コラム:営業担当者がいない会社の新規顧客開拓 >
営業改善は、集客と切り離して考えない
ここまで、問い合わせから受注までの営業改善について考えてきました。
ただし、営業改善を進めるときには、もう一つ重要な視点があります。
それは、集客と営業を切り離さないことです。
例えば、ホームページで価格の安さだけを強調していれば、価格を最優先するお客様からの問い合わせが増えるかもしれません。
自社の得意分野や対応できる範囲が十分に伝わっていなければ、商談のたびに同じ説明を繰り返すことになります。
問い合わせ前に確認してほしい情報が不足していれば、商談後に条件が合わないことが分かる場合もあります。
こうした問題は、営業担当者の努力だけでは解決できません。
ホームページの内容、SEOや広告で発信する情報、問い合わせフォーム、初回対応、商談での提案。
これらを一連の流れとして見直す必要があります。
集客で見込み客との接点をつくり、営業で顧客の課題を理解し、提案を通じて受注につなげる。
その流れ全体を改善することで、限られた人員でも営業活動を効率化できる可能性があります。
< 参照・関連コラム:SEOをしても問い合わせが増えない原因 >
問い合わせはある。だからこそ、改善できることがある
問い合わせがあるのに売れない。
そのようなとき、すぐに広告を増やしたり、営業担当者を増員したりする必要はないかもしれません。
まずは、現状を整理してみましょう。
- 問い合わせから受注まで、どこで止まっているのか。
- 問い合わせをしてくるお客様は、自社の対象顧客に合っているか。
- 商談では、お客様の課題に合った提案ができているか。
- 見積もり提出後の対応はできているか。
- 営業の結果を記録し、次の改善に生かしているか。
すべてを一度に改善する必要はありません。
一つの案件、一つの対応、一つの営業プロセスから見直していけばよいのです。
問い合わせがあるということは、少なくとも自社に関心を持ってくれた人がいるということです。
その関心を、どうすれば商談につなげられるのか。商談を、どうすれば受注につなげられるのか。
そこに目を向けることで、新たな可能性が見えてくるはずです。
社長の右腕として、営業と集客を一緒に改善する
私は、中小企業の社長の「右腕」として、経営、営業、集客、Webなどの課題を一緒に整理し、改善を進める仕事を始めています。
問い合わせはあるのに、なかなか売れない。
ホームページやSEOには取り組んでいるけれど、受注につながっている実感がない。
営業を改善したいけれど、何から手をつければよいのか分からない。
そんなとき、営業だけ、集客だけと個別に考えるのではなく、会社全体の流れを見直してみることが大切です。
どこに問題があるのかを整理し、優先順位を決め、できることから実行していく。
私は、社長の隣で一緒に考え、一緒に動きながら、その取り組みを支えていきたいと思っています。
< 参照・関連コラム:経営の相談相手が必要な理由 >
新しい問い合わせを増やすことだけでなく、今ある問い合わせを受注につなげること。
そのために何ができるのか、一度一緒に考えてみませんか。
