iPhone スティーブジョブズ
顧客インサイト(潜在顧客にとっての本当の価値・傾向)をつかむ際、マーケティングリサーチを活用する企業は大手には少なくない。 今、このリサーチ方法が正しいのか疑問符がついている。 インサイトをつかむことの重要性は中小企業にとっても同じだが中々手がまわっていない。 しかし、リスクヘッジのためにも大がかりではなくとも事前の調査、考察を実施すべきだと考えています。 考察の一助になる参照にすべき、大手の陥りやすい悪しき傾向と成功事例を共有し活用したい。 マーケティングリサーチ

まず悪しき傾向として。 リサーチ体制、手法への正しい理解がないまま“形式的なリサーチ”を行っている企業が多い。 行動を起こす前に少なくとも以下の整理は必須だと識者は問う。
1. 何のためにリサーチを行うのか?
2. そのリサーチで何を得たいのか?
3. 想定される結果から次はどのようなアクションをするのか?

その次に、以下に整理する手法のどれが最適なのか検討をすべきである。
<リサーチの種類>
「探索的調査」・・・商品企画のアイデアや顧客インサイト(洞察、潜在ニーズ)を得るための市場調査。定性調査が一般的。
「検証的調査」・・・商品コンセプトを、顧客ニーズや競合・技術面で検証するための市場調査。定量調査が一般的。

特に「定性調査」で顧客インサイトを得ることは顕在化されていないニーズをあぶりだして把握する必要があり容易ではない。
4つの手法を整理し共有しますが、中小企業にとってはどれかをしっかり実施しましょうというのではなく。
どれも心構え、コツ・ノウハウとして参照になるのでメモして現場、市場でアンテナをたてるべきだと考える。
(私もそうします!)
240529 顧客インサイト

1)インタビュー法:
「グループインタビュー」と「デプスインタビュー」がある。 多様な情報を知りたい場合は前者が有効。発言力のある回答者に引っ張られる傾向があり、要注意しながら実施。 消費者の内面を知りたい場合は後者。複数人に個別に実施すべし。
2)観察法:
観察者の力量に依存することに留意が必要。 行動観察、店頭観察などデザインシンキングで用いる。顧客の“無意識の行動を基に、見過ごしがちな言葉にされない”潜在ニーズ(顧客インサイト)をとらえるよう心がけるべし。
3)リード・ユーザー法:
リード・ユーザー=先端的なユーザーに率先して欲しいもの、商品企画を発言してもらう。 消費者自身に自分の内面を整理、発信してもらい参照にさせてもらうべし。
4)ソーシャルリスニング:
リード・ユーザー法の現在の形のひとつといえる。 SNSや動画により顧客が自らのアイデアやユニークな使い方、不満を発信しまくっている現代。 これを観察、収集して整理するべし。 240529 ソーシャルリスニング

大手の成功事例として。
1. ハウス食品:ロングヒットの裏にリサーチの力。調査次第で撤退も辞さず。
著名商品「バーモントカレー」で「若年夫婦二人」の購入率が低下していることが顕在化。 ライフステージが変化したとき、お客様に寄り添い進化(深化)することを重視。 調査でこの対象は、①夫婦共稼ぎで帰宅後調理は面倒くさい。 ②脂っこい洗い物は面倒くさい。③そのくせこだわりの味、高級感は得たい。というインサイトを持つことが判明。 応えられるのか?を社内で検討、考察し答えが「可能・OK」だったので新品種を開発、販売へ。

250529 バーモントカレーシェフズアレンジ 2. ファミリーマート:調査専門部隊の驚異の実力。ヒット確率を高めるリサーチとは。
顧客理解を徹底し、データ分析に基づいて経営者や事業部門に提言を実施する。 1) 商品企画、マーケティング部門から独立した第三者の視点を持った組織。 2) 消費者理解に必要な金を、コストではなく先行投資として位置づけ。 3) 「お客様のために」ではなく、「お客様の立場に立って考える」客観的に考えるべし。 成功事例である「生コッペパン」は従来のコッペパンが持つイメージ(ペイン)として「懐かしい」「学校給食」「素朴」「ボソボソ」との違いを明確にした。 商品コンセプトをコピーの形で明確に可視化。消費者の反応を調査。消費者からどのような評価を得られるか明示。 これを「消費者に刺さるコンセプト」として練り上げて購買時のリピート率の向上に貢献した。 240529 生コッペパン

最後に「斬新で世の中にない新商品」として、米アップルのiPhone の成功が有名だが、当初、多くの識者に「そんなものは売れない」と言われた。が、見事に潜在ニーズを掘り起こした。
この背景を共有します。 リサーチ当初は、a. 斬新過ぎて商品を想像できない。 b. 対象ユーザー同士で形成できる認知や理解の度合いは極端に下がる。 c. 相対比較するものがなく比較できない。 と「限界」だらけだったが、この限界を認識したうえで結果を見定め行動につなげた。 上記結果は独自化や差異化のヒントにならない凡庸な結果、想定内の結果だった。 統計学で検証しないいわゆる「外れ値」がゆえに、これを掘り下げることで、新しい発見、アイデアの起点に繋げていった。 マーケティングリサーチはビジネスのためのもの。統計学のような研究のために実施しているわけではない。 「外れ値」という宝のネタ、素材に気づき具体化、可視化できたとしたら。 それは世の中に存在しない新しい商品を産む可能性がある。

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<参考文献> 日経XTREND 6月号

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