Pinterest の価値再考(ウィズコロナのマーケティング)

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。
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Pinterest(ピンタレスト)というと、日本ではあまり知られていないか、画像アプリ、メディアとして後発のInstagram(インスタグラム)に抜かれた存在として認知している人が多いのではないだろうか?

実は明確な違いがあるのですが、利用者が少ないとマーケティングでは機能せず、私自身、離れて久しいのです。
が、ここに来てその価値が再評価されてきました。

実際、アメリカを中心に世界では順調に成長し、2019年上場、MOU(月間利用者数)は4億人を突破。日本でも、クリティティブ層を中心に530万人と生きています。

コロナ禍の今、さらに脚光を浴び、見直されています。
弊社もお客様によってはお勧めする好機だと考え、ギアをきるつもりです。

キーワードは、「セレンディピティ」と「キュレーション」。

解説してまいります。

1.セレンディピティの欠如はまずい!
セレンディピティ(Serendipity)は、「予測していなかった偶然によってもたらされた幸運」あるいは「幸運な偶然を手に入れる力」を意味します。
特に科学の世界において、大きな発見が偶然からもたらされることが多いため、科学者がよく用いる表現です。
語源は、18世紀のイギリスの小説家・ホレース・ウォルポールが、『セレンディップの3人の王子たち(The Three Princes of Serendip)』というおとぎ話を読んで生み出した造語です。
私自身は、Amazon(アマゾン)が隆盛してきた時期にリアルの書店の長所として強く理解しました。
すなわち、買いたい本、目的が明確であれば、オンラインECでは早く探してとっとと入手できる。
一方、リアルでは店員のお勧めポップや書棚のレイアウトによって当初の目的から外れた予定外の出会いがあり、思わず買った本が後に転機となるようなことが少なくない。

今、問題になっているのは、この「セレンディピティ」がもたらしてきた効果を得られないことの大きさである。

1)企業において、談話室や喫煙室、飲み会などでの何気ない会話やブレストにおいて、アイデアやヒントが創出、共有され。新しい企画ができてくる。目的ありきのリモートでは、終わればはいサヨナラで効率は高いが、幅がでない。

2)大学の授業はリモートでも可能だろう。受験勉強などは逆に効率的で好ましいほどである。
が、学びは、何気ないキャンパスでの集いや会話。サークル、ゼミ活動、バイトなどで得るものの方がむしろ大きい。これができない現在の学びは可哀そうだ。

セレンディピティ

2.今こそ新たなキュレーションが大事
キュレーション(Curation)は、情報を選んで集めて整理することです。収集した情報を特定のテーマに沿って編集し、新たな意味や価値を付与する作業、再編集を意味します。
美術館や博物館で企画展を組む専門職のキュレーター(Curator)に由来します。
転じてデジタルマーケティングでは膨大な情報から自身がよいと思ったものを承認、共有、拡散したり、再編集して再発信することでさらに有益な情報として広まっています。
知識を広く共有し深めることでは非常に有効です。
しかし、ソーシャルメディアに没頭し検索に頼りすぎると目的達成、問題解決や効率化のみを求め、思考・興味の偏りや関係の限定化、狭窄化が指摘されています。これをリアルなセレンディピティが補完し、よいバランスがとられていました。

お気づきの通り、コロナ禍のリモート、オンラインでは偏りだけが進む一方という弊害が目立っています。
同じ、キュレーションを活性化するにしても、偏りに陥らず、セレンディピティも興る媒体を求める傾向がどんどん強まっています。

Curation

コロナ禍が顕在化させた、この2つのキーワードが、Pinterest を私に思い起こさせています。

その理由を、改めてInstagramとの比較からみてみましょう。
ここでは、年齢層や性別比などの重要な比較は割愛します。
それよりも本質的な違いに焦点したく。

Pinterest は、自身が投稿しなくとも、気に入った他人の投稿を自身のページにピン留めするだけで自身の収集コンテンツとしてストックされてゆく機能が他にない最大の特徴です。

イメージとしては、はてなブックマークのソーシャルブックマークに近い(体感していない方、すいません)。

私のPinterest 画面です(私のセンス伝わりますか?)。

PinterestPC画面

Instagram は「インスタ映え」で示す通り、自発型、発信型で顕示欲を満足させる媒体である。私凄いでしょ! 及び、そのファンであるフォロワーもこの人素敵と満足を満たせる。
好きな世界を発信し、好きな世界を受信する。意志が大きく働いているので、満足感は強く、結びつきは強い。
であるが故に、互いの意志の範囲内だけに終始する狭い世界である。

Pinterest は、審美眼、収集能力を誇示するが、その能力を外部に示したいのではなく、あくまで自身のアイデア出し、クリエイティブを補完するために好きな他人の力を借りる。
ストックされた情報がさらに、近しい価値や情報に結びつけてくれて、意識しない新たな結びつきに広がってゆく。
ドンピシャではないかもしれない。しかし、予期せぬ新しい出会いやイメージに出会え、新しい世界への門戸は開かれている。

いってみれば、同じ画像系ソーシャルメディアだが方向性は真逆である。
Instagram の否定ではないが、このコロナ禍で閉塞感、新たなつながりが遮断されてゆく今、望ましい媒体はどちらか。

ちなみに、Instagramと連携してECサイトに導き購買に結びつける導線は成功している。特に、女性の場合顕著だ。
しかし、Pinterestのそれは、Instagramを凌駕する。
前述のリアル書店でおこるセレンディピティを思い出して欲しい。

衝動買いとまで言わないが、狭い世界では飽きがくる。
一報、予期せぬ出会いや新しい気づき、ヒントはわくわく感やドキドキを創出し続ける。
瞬間風速や流行りは、Instagramだろう。しかし、良い商品やサービスが長く成果を出せるのはどちらか?
市場や多くのマーケッターが気づき始めています。

最後に。 流行りや上辺のスタイルに大きな影響をうける我ら日本人。
私をふくめ、日本人がPinterest を使いこなせずに10年が過ぎた間も、自身の価値、意志を強くもち、クリエイティブ、独自性を尊ぶアメリカではしっかり成長してきた事実は別次元の大きな反省すべき材料だと考える。

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【参考】
「日経XTREND 2021年4月号 セレンディピティーはどうつくる?」
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【中小企業の経営者が今すぐ始めるべき「集客の仕組みづくり」|株式会社レゾンデートル 】
https://youtu.be/X0D-lijQVJs 

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