中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の方法・在り方

マーケティングコンサルタントの松川勝成です。 めざせ、皆さまの模範。 めざせ、有益な情報の無料ご提供。 「結果」より「行動」でまいります。 

・・・と言いながらコロナ禍対応とおかげ様の多忙にかまけて、お客様には「書くこと」「継続すること」と口酸っぱくいうくせに、自身は1年以上の空白。 大反省のもと、再開です。

DX(Digital Transformation)

まず、私の意見(危惧)から明白にします。 DX(デジタルトランスフォーメーション)は重要、かつ不可避です。 しかし、コロナ禍で疲弊する今、負荷のかかる新しいチャレンジにトライすることに憂慮します。 さらに、間違った方法で無駄を重ねるとなると存続に拘ります。

そのような私のジレンマ、危惧に明快な回答をみつけ、我が意を得たり。 まま、転用させて頂きます。


理念と経営 2021年2月号/コスモ教育出版 日本経済の今を読み解く/寺島実郎

今、多くのエコノミストや経済人たちは、わたしが述べたような事実(注釈:V字型株価回復の謎、富の逆進性の矛盾)に衝撃を受けながら、「これからはDXの時代だ。AI、そしてビッグデータの時代だ」と声高に叫んでいます。半知半解の人たちは、デジタル庁さえつくれば問題は解決される、という程度の発想で向き合っています。 しかし、問題はそんな簡単に解決することではありません。確かに高い戦闘力を持つためにDXは重要です。けれども、DXさえ進めば日本産業は救われるなどと思ったらそれは大間違いなのです。

重要なのは「デジタルとリアルの融合」です。 どういうことか。日本でコロナ禍によってさまざまな分野でいろいろな混乱が起きましたが、食料パニックは起きませんでした。カロリーベースが食料自給率わずか1%の東京都でさえも(全国は37%)、経済がほぼシャットダウンしたにもかかわらず、食料パニックに陥ることはありませんでした。 なぜならば、スーパー、コンビニ、宅配ビジネスなど、前述したエッセンシャルワーカーズの人たちが、現場の最前線で汗を流して働いてくれたからです。つまり、社会を支えているのはリアルな現場なのです。デジタルでは「食べられない」ということに気がつかなければなりません。

「人間は飯を食わなければならない」という課題に対して、デジタルは回答できないのです。 DXは重要です。しかしもっと大事なことは、日本が抱える課題を「デジタルとリアルの融合」の中で解決していくことです。そうした目線を持っておくことが不可欠なのです。


日本人は新しいもの、スマートなものを意味なく尊ぶ風潮があります。 地に足をつけて、現存リアルビジネスを大事にしながら、徐々にDXにトライし弛まぬ革新をしてゆくことが肝要だと考えます。

その前提でDXの超基本をまとめてみました。 自社にあったDXとは何かを見極めて柔軟に進めてゆきましょう。 他社(他人)は他社、自社(自分)は自社です。

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か

1.DXの定義 概念を最初に提唱したのは、スウェーデン・ウメオ大学ノエリック・トルーマン教授です。 曰く、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させる」こと。 日本・経済産業省は具体的に「データとデジタル技術を活用」して「製品・サービスやビジネスモデル」とともに「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土までも変革」することと定義しています。

2.DXの2つの要素 「DXの実践」と「DXの環境整備」から構成。不可分であり歩調を合わせるべし。 具体的にDXを推進しながら、環境整備や企業内改革を進めます。

3.デジタル時代に重要な3つの能力 デジタル時代に企業の受ける影響は、 ・既存事業の継続的優位性の低下 ・ディスラプター(既存業界の秩序やビジネスモデルを破壊するプレイヤー)による業界破壊の可能性 ・デジタルエコノミー(コンピュータによる情報処理技術によって生み出された経済現象)による構造変革 DXの如何に拘らず、これに打ち勝ち発展するための3つの能力は、 ①漸進型イノベーション推進力 ②不連続型イノベーション創出力 ③変化適応力

4.DXによって企業が目指す姿 「どういう企業を目指すのか」というビジョンを明確にしておくことが重要。 ここがあやふやだと、必ずというほど迷走します。

DXを実践するためのポイント

1.どの領域で実践するのか(4つの領域) DXを目的は先端技術の導入ではなく、ビジネス・業務の変革です。 具体的に「どのビジネス・業務を変革するのか」という方向性を明確にすることから始めます。 領域は以下の4つ。

DX図

2.デジタル化の4つの潮流 DXの潮流として4つの方向性があり、4つの対応策があります。 ①社会・産業のデジタル化 → ビジネストランスフォーメーション   (ビジネスに直結する業種・事業特化型のIT) ②組織運営・働き方のデジタル化 → フューチャーオブワーク   (将来の働き方をITで切り開く) ③顧客との関係のデジタル化 → カスタマーエンゲージメント   (マーケティングとITの融合) ④デジタル化に対応したビジネス創造 → デジタルエコノミー   (デジタルを活用したビジネスモデルの創出)

3.2つの実践パターン ①データに着目するパターン:IoT 3Dプリンタ=デジタル技術の進展で活用可能になったデータに着目。 ②つながりに着目するパターン:人や企業がSNSなどデジタルでつながれるようになったことに着目。

4.14個の実践ヒント 3番の実践パターンで各々7つの方法があり、組み合わせる。 A:データ;①モノのデータ ②人のデータ ③画像・音声のデジタル化 ④有形物のデジタル化 ⑤デジタルコンテンツの活用基盤 ⑥経済的価値の交換 ⑦付加価値データの有償提供 B:つながり;①オンデマンド・サービス ②優位な自社業務のサービス化 ③APIエコノミー ④アグリゲーション・サービス ⑤マッチング・エコノミー ⑥シェアリング・エコノミー ⑦キュレーターズ・セレクション

DXを成功に導く企業内変革

1.5つの企業内変革 実践的な取組みの推進とともに、企業内変革を断行する必要があります。 「意識」「組織」「制度」「権限」「人材」の5つの点で変革します。相関関係にあり全て必要です。

2.「意識」を変革 最初に着手するのが、経営層や事業部門の「意識変革」です。 対話型アプローチ(非公式ミーティングなど)、参加型アプローチ(社内アイデア公募など)、啓発型アプローチ(社内セミナーなど)。

3.「組織」「制度」を変革 実践のためのアイデア出し、実現のために必要です。 初期に専任スタッフによる推進組織を設置し、明確な目標をもたせ、その役割を全社に周知することが有効です。 スムーズな遂行のために。既存制度の見直しや新制度採用が必要です。

4.「権限」「人材」を変革 上位集中の権限を、多様性をもった人材やチームが自律的に動くため権限委譲、分散が有効です。 推進チームの人材として、アイデアを生みモデル化する「デザイナー」、技術的な目利き力・実践力をもった「デベロッパー」、全体を統括する「プロデューサー」の3タイプが組むことが有効です。

DXを実践する手順とポイント

1.5つの処方箋 推進のためには過去の常識や方法論、成功体験を捨てて臨まなければならない場面があります。維持のためには5つの処方箋が効果的です。 ①「WhyとWhere」の徹底的追求 ②小さい取組みから始める ③賛同者・協力者を見つける ④実体験を重視する ⑤「外の世界」に触れる

2.2段階方式で進める コストをかけずに試作品をつくり反応を見ながら改善するサイクルを短期間に繰り返しムダを抑えて事業化=「リーンスタートアップ」。 これを取り入れ、小さな取組みを成功させ、順次、環境整備しながら全社に拡大させてゆく。

3.イノベーションを可能にする発想法のコツ DXには既存事業対象の「漸進型イノベーション」と新規事業対象の「不連続型イノベーション」があります。 双方これまでと異なる発想法が求められます。 前者では、過去十分にテクノロジーが入り込んでいない領域に着目し、適用可能性を模索。後者では3C(Customer/Company/Competition)と4P(Product/Price/Promotion/Place)に着目する。

4.DXの基本プロセスと推進体制 基本プロセスは、 ①アイデア創出 ②PoC(コンセプト検証) ③PoB(ビジネス検証) ④本番移行 ⑤本番稼働 一連の流れをスムーズに進めるため、フェーズごとに主体となる組織、役割について開始時点(か早期)に明確にしておくことが望ましい。

DXは未来をどう変えるか?

1.世界は大きな変革を迎える デジタルにより大きく変わった過去10年より今後10年がより大きく変化するはずです。 重要なのは、IoT、AI、5G の3つとこの組み合わせが大きな影響をおよぼします。

IoT AI 5G

2.デジタルディスラプションの第2波 第1波は、GAFAN により巻き起こされました。 第2波には既存の大企業の登場とともに、大小、新旧、業界を問わずダイナミックな連携によって新たな社会システム、業界構造が構築されていくと予想されます。

3.リアルよりもデジタルが基盤となる社会 冒頭記載の通り、リアルの大事さを再認識し敬意を払いながらも、ゆくゆくはリアルの世界がデジタル世界に包含されるようになる。 現時点、リアル接点においてときどきデジタルだが、IoTやモバイルの浸透で30-40年かけて物理から仮想へ、モノからサービスへ、所有から共有へ、消費から循環・再生へとシフトすると予想されます。

5.S字カーブを生み出し続ける企業が生き残る 企業の「成長のS字カーブサイクル(黎明期・成長期・成熟期)」を継続することで変化に対応し生き残るために。 成熟期を早期に察知し「深化」によって維持・改善しつつ、新規ビジネスの「探索」を断行します。


【参考】 ・未来IT図解 これからのDX /内山悟志/MDNコーポレーション
・世界一わかりやすいDX入門/各務茂雄/東洋経済新報社
・日経XTRENND 2021/2月号:コロナ後の営業DX大潮流


【中小企業の経営者が今すぐ始めるべき「集客の仕組みづくり」|株式会社レゾンデートル 】 https://youtu.be/X0D-lijQVJs 

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